2008年12月16日火曜日

携帯持ち込み禁止で何が解決するか?

 昨今、学校への携帯持ち込みを禁止する風潮にあるが、果たして、それで何が解決するというのか?

小中学校への携帯持ち込み、原則禁止 教育再生懇提言へ

 先日、子供が通っている学校を通じて、PTAの「携帯電話についてのアンケート」と称するペラ紙が一枚届いた。聞いている事は次の3点だけ。

 問1:児童生徒が携帯電話にからむ事件に巻き込まれていることを知っているか?
 問2:自分の子供がそのような事案にあった場合どこへ相談するか? (選択肢あり)
 問3:フィルタリングを知っているか?

 もう、何を調査したいのかさっぱり分からない。というか、逆に、意図的に用意された結論へ導くための材料が欲しいだけじゃないか? と勘ぐりたくもなる。

 問1に関して、携帯にからむ「悪いニュース」が報道されない日はないほどだから、知っている親は多いはず。
 → ほら、これほどに親御さんは関心を持たれております

 問2に関して、そんなこと聞かれても、それが刑法に抵触する事案なのか、単なるいじめなのか(これも刑法に触れているとは言えるかもしれないが)で、相談する相手は全然違ってくるのに、いっしょくたにされても返答に困る。
 → ほら、親御さんたちは、どこに相談してよいかも分からない状態です

 問3に関して、業界の人間か、よほど関心を持っている人以外は「名前は聞いた事があるけど、詳しくは知らないよ」と答えるだろう
 → ほら、親御さんたちの、フィルタリングに関する知識は乏しいものです

【結論】親もうまく制御できないものは、子供に持たせるのは止めよう

ってシナリオだろうな? 違うか?

 別の言い方をするなら「学校に持ち込ませさえしなければ、何か事件が起こったときに教育現場は責任を取らなくて済む」という腹だろ?

 それって、自分が学生の頃の「バイクは危ないので免許取得は禁止します」とすごく似ているよ。法律上、免許取得が許されているのに、学校という道交法とは関係ない団体が禁止する。こんなバカな話はないよね。万が一、バイク事故が発生しても「うちは、免許取得を禁止していますから、関係ありません」という事なんだよね。

 教育って何なんだろうね、と改めて思うよ。バイクの危険な運転がどのような結果をもたらすかを教えてやるのが教育じゃないのか? それは、勉強とは関係ない? それなら、服装や髪型についてとやかく言うべきではないよね。服装で勉強するわけじゃないから。

 携帯を所持することも、バイク免許を取得する事も、合法なんだよ。わかる? 自分たちの教育怠慢を捻じ曲がった方法で誤魔化すのはやめようよ。ほんと、たのむわ。

2008年10月19日日曜日

衆院のパソコンから「改ざん」

ウィキのマルチ関連記述、消される 衆院のパソコンから
http://www.asahi.com/national/update/1018/TKY200810180229.html

 口のまわりにあんこをいっぱいくっつけてるのに、「ぼく、お団子食べてないよ」と言ってるのに等しい。議員連中は、どうしてこうも IT 音痴なのだ? 妙な法律でネット業界を締め上げる前に、仕組みを良く理解する努力をしろ。

 呆れてものも言えない。

衆院事務局によると、職員のパソコンからウィキペディアを編集できないよう対策をとっているため、職員の行為とは考えられないという。
はぁ? ルータで遮断してるんじゃないのか?

2008年9月18日木曜日

人工ブラックホールは地球を飲み込むか?

 これじゃ、まるで大衆週刊誌の出来の悪い見出しだ。

 欧州原子核研究機構 CERN で完成し実験が開始された、大型ハドロン衝突型加速器 LHC にまつわる話だが、実験での発生する極小ブラックホールが地球を飲み込んでしまうのではないかと、実験中止を訴える人たちが少なからずいたようだ。

 「何を世迷言を…」

 などと、ナウシカのクロトワのようなセリフを内心吐きながら、無知は罪であると常々感じている自分自身は、今回の実験に関してどれだけの知識を持っているのだろうか、と、はっとした。さっそくググって調べてみる。

 粒子加速器を使った素粒子実験の歴史は、そんなに浅いものではない。なぜ LHC が耳目を集めているかというと、その性能がこれまでとはケタ違いだからのようだ。

 例によって素人の付け焼刃的解説だが、お付き合いいただきたい。

 手元にある1990年刊行の解説本によると、当時の米フェルミ国立加速器研究所の粒子加速器の性能は、陽子に1兆8000億電子ボルトのエネルギーを与えることができるとある。つまり、1.8 TeV(テラ・エレクトロン・ボルト)となる。
 今回稼動開始した LHC のそれは、7.0 TeV ということなので、ケタこそ同じだが段違いだ。これほどの高エネルギーをもった粒子同士が衝突すると、宇宙の始まりがそうであったと言われる「ビッグバン」に近い状態を再現できるということだ。

 20世紀最大の発見といわれる一般相対性理論だが、実はこの世の中の全てを記述できる理論ではないらしい。特に物質の極小レベル、つまり素粒子レベルを記述しようとすると、うまくいかなくなってしまう。アインシュタイン自身も素粒子論にはあまり良い印象をもっておらず、「神はサイコロを振らない」という名言(迷言?)を残している。

 その素粒子論も、この世の全てを記述できているわけではない。理論上は存在が予言されていても、発見に至っていない素粒子も多いという。ヒッグス粒子もそのひとつで、「なぜ物質が集まると重力が発生するのか?」の鍵を握る素粒子だそうだが、LHC の実験で発見が期待されている。

 その宇宙の起源を探る実験だが、どこからどう沸いて出たのか知らないが「実験で強力なブラックホールが出来て地球を飲み込んでしまう」というアホな噂話が飛び交ったそうだ。

 仮に(本当に仮にだ)、実験でブラックホールができたとしよう。陽子同士の衝突で発生するブラックホールの質量は、衝突した陽子の質量の合算以上には絶対にならない。となれば、その質量は「取るに足らないレベル」だ。仮に、それが「事象の地平面」を形成するまでに凝縮されブラックホールとしての体を成したとして、その半径は計測もままならない程度のものになるだろう。

 「いや、それでもブラックホールであることには間違いない」

 世迷言集団は、そう反論するかもしれない。理屈には理屈で対抗しよう。

 スティーヴン・ホーキングが発表した「ブラックホールの蒸発理論」によれば、ブラックホールは巨視的には徐々に質量を減らしていく。そして、あるポイントを過ぎると加速度的にエネルギーを撒き散らし蒸発してしまう。
 つまり、どのブラックホールも緩慢な消滅の道を歩んでいく。そして、その消滅の速度は自身の質量に反比例して速くなる。たとえ計測もままならないブラックホールが生成されたとしても、光が1ミリも進めないぐらいの間(あくまでも例えだが…)に消滅してしまうだろう。地球を飲み込む暇なんてありえない。

 すべての人間が素粒子論を熟知している必要は無い。しかし、理系のセンスというもは持って欲しい。噂話が「ウソ臭い」のか「現実味があるのか」ぐらいはかぎ分けられるセンスだ。

 例えば、
 「蛇口に挟むだけでトリハロメタンが除去できる浄水器」(ただの強力磁石じゃん)
 「健康に良い純度99.9%のゲルマニウムをちりばめた腕輪」(ただの金属じゃん)
 「遠赤外線を出して体によいトルマリン入りの…」(永久機関か?)
とか、の事。

 こんなのにひっかかるヤツが悪い。そう、ごもっとも。もっと勉強しようよ。なんか変だなと思ったらネットで調べればいいじゃん。きっと、賛否両論の記事がたくさん見つかるだろう。
 だが、擁護してるページは、だいたいが業者関係者によるものと言っていい。なぜなら内容が一字一句違ってないからだ。両論、くまなくページを巡回すれば、おのずと何が正しいのか判断できるだろう。ウェブの無かった時代では無理だったろうが、今ならそれが出来る。知の集積所としてのネットを活用すべきだ。

 ブラックホールから、トンデモ商品まで、幅広い話題だね。

ちなみに、CERN は WWW 発祥の地とされている。昔は CERN httpd とかあったよね。今もあるかな?

【追記】
 「加速された陽子同士の衝突でブラックホールが生成されたとしたら」の思考実験だが、厳密に言うと加速された陽子の質量は静止状態のものより重くなっている。加速器によって加速された陽子は、光速に近づくにつれて遅くなる。つまり、与えたエネルギーの全てが移動エネルギーに変換されなくなる。これは、一般相対性理論の基本原則である「物質は光速を超えて移動できない」という縛りにあうからだ。では、与えられたエネルギーはどこに消えたかというと、陽子の質量に変換されている。つまり、陽子は重くなっている。これが、どれだけの重さになっているのかは計算式から導けるとは思うが、ここでは詳しくは触れない。どのみち、増加した質量はとるに足らないレベルだろう。

【追記2】
タイトルのタイポを修正。

【追記3】
「光速度不変の原理」は、特殊相対性理論の基本原則でした。付け焼刃ばればれ。

2008年9月7日日曜日

[ MIAU ] "インターネットリテラシ読本" を公開

 制作と配布が予告されていた、「MIAU版インターネット教科書」が公開にこぎつけたようだ。

インターネットリテラシ読本「”ネット”と上手く付き合うために」公開

 全23ページに及ぶものでPDF形式よる配布となっている。
冒頭で「青少年ネット規制法」成立の経緯に言及しており、

インターネットの仕組みを理解していない議員間で立案されたため、成立までには、インターネット事業者や携帯電話業界から大変な反発がありました

とある。

 議員が特定の業界に詳しくないのは、ある意味しょうがない部分もあるだろうが、特にインターネットという技術革新スピードの速い業界では、概要さえ把握してるかどうかも怪しい。

 それに、歴史が古く政治的に大きな影響力のある業界であれば、有形無形の圧力をかけて簡単にツブしてしまうような法案でも、そのような「魔法の杖」を持ち合わせていない業界では止めようが無い。

 もちろん、法案の趣旨には同意できる。が、やり方が間違いだらけだ。業界のあちこちからたくさんの指摘を受けていたが、結局ゴリ押しで通した。

 そのツケは国民に回ってくる。気がつけば、インターネットが居心地の悪い場所になり、そこで発展するはずだった産業は廃れ、インターネットリテラシ教育を十分に受けていない若い世代が、18歳になった瞬間に様々なトラブルに巻き込まれ大混乱に陥る。

 今はまだおぼろげだが、確実に実像を結びつつある「バカ過ぎるインターネット未来像」がそこにある。インターネットとはどういうものなのか(どういうものだったのか)が理解できていない者が、不具合だらけの法律でブチ壊しているのだ。

 話がそれた。

約束どおり、「MIAU版インターネット教科書」を公開してくれた、MIAU の中の人たちに御礼を言いたい。

 ありがとう。そして、おつかれさまでした。

2008年8月9日土曜日

イニタライズ

 「ふくしまさん、ここの処理をみて欲しいんですが」
 「はい、どこですか?」
 「ここのイニタライズのとこなんですけど」
 「は?」
 「ここです」

 イニタライズって何? 初めて耳にする単語の響きに何のことかぱっと思いつかず、指されたソースコードを凝視した。

 「あぁ、あのさ、これイニシャライズ(Initialize)って読むのよ」
 「あ、そうですか。そのイニシャライズの処理のなかの、エナブルがですね」
 「ちょ、ちょっとまって。そのエナブルって何?」
 「ここです…」

キーボード、カタカタ…。

 「ああ、これさ、イネーブル(Enable)って読むのよ」
 「あ、すみません」
 「じゃあさ、これ(Disable)、何て読む?」
 「…。ディザブルですか?」
 「違います」

 あのさ、プログラミングの勉強をがんばってきたとは思うけど、最低限の英単語の読み方ぐらいは習得しておこうよ。中学生レベルだろ、これ。

 ゆとり教育の弊害ってやつですか?


【追記】
 別の日。
 「…で、そこを修正したらリターンキーを叩いて」
 「……」
 「ん? どした?」
 「すみません、リターンキーってどこですか?」
 「これ、これ!」
 「これ、Enter って書いてありますけど…」
 「ぐはっ!」

 昔はな、昔はそこは Return って印字してあったんだよ。いつから Enter になったんだ? ブツブツ…。

2008年7月13日日曜日

近接場光(きんせつばこう)って何だ?

 NHK の「サイエンスZERO」で、近接場光(きんせつばこう)という不可思議な現象が取り上げられていた。

ナノの世界に”輝く”光 近接場光

 これでも理系の端くれ、たいていのトピックにはとびついて一通りの知識を仕入れておくようにしているが、この「近接場光」については、全くもって初耳だった。

 前半の、現象の解説の部分しか視聴していなかったが、それだけでも充分に知識欲を刺激してくれた。この世にこんな面白いものがまだあるのか、と。

分かりやすい解説は↓ここが良いかもしれない。
キヤノンサイエンスラボ 光って何? 近接場光

 要するに、光が、その波長より狭い空間を抜ける事ができずに、開放部にまるで「光がしずくのように溜まる現象」だそうだ。ナノテクノロジーを支える微細加工技術が発展してきて発見された現象なのか、それとも現象自体はすでに発見されていたものなのか、はっきりとはしないが、面白すぎる現象であることには違いない。

 更に面白いのは、近接場光は「光のしずく」から外へ伝播しないそうだ。つまり、光が外に出て行かないので目で見ることができない。波長より狭い空間から抜け出す事ができないのだから当たり前のようにも思えるが、実に不思議だ。目に見えないのに、よく発見できたよね。

 では、近接場光をどのように確かめるかというと、「光のしずく」の中に物質を接触させると、物質によって散乱して飛び出てきた光が見えるようになるんだと。

 ん? 待てよ。波長より狭いんだから抜けられないんじゃないの?
 抜けられないの? 抜けられるの? どっちだよ。

 ああ、もう、気になって夜も眠れない。きっと量子力学の分野に片足突っ込んでるんだろうな。学生の時にもっと勉強しておくんだった。あ、いや、勉強しなおしだ。

2008年6月22日日曜日

「チップチューン」というジャンル

 なぜか雑貨屋に陳列されていた CD 。

FAMILIAR COMPUTING WORLD (8bit Project)

大ヒットJ-POP から歴史的名曲まで、すべてをファミコン・サウンドで再現!

 そういえば以前話を聞いた事がある。あえて制限の多いチープな音源を駆使しサウンドを構築する人たちのことを…。「チップチューン」と呼ばれるジャンルらしい。決して高機能とは言えない音源チップで、最大限の効果を上げるために職人芸ともいえるテクニックでチューニングする、という事なんだろう。

 何がともあれ、Rydeen と Technopolis がエントリーされていれば、無条件に衝動買いの対象となる。YMO が、ファミコンサウンドで、どのようにアレンジされているか興味津々だ。

 ファミコン登場より前に活躍した YMO は、ともすればピコピコサウンドと陰口をたたかれがちだった。しかし、解散後の(正確には「散開」したあとに「再生」したが、YMO が今どうなっているのか不明)彼らの評価を見れば、単なるイロモノ集団では無かったことは明らかだ。

 その YMO のデビューアルバムである、「Yellow Magic Orchestra」に、業務用ビデオゲームの音源を模した曲が存在する。タイトルはそのままズバリの「COMPUTER GAME "Theme from the Circus"」と「COMPUTER GAME "Theme from the Invader"」だ。ある意味チップチューンのハシリとも言えなくはない。

 現在の若い世代はどうか分からないが、ゲーム開発会社でサウンドを担当する者のほとんどが YMO に影響を受けてる、と、まことしやかにささやかれた時代があった。実際のところ YMO の影響力はすさまじく、YMO をまねて、いわゆる「打ち込み」でコンピューターサウンドの世界に入り込み、そのままゲーム業界入りしたという人の話を良く聞いた。その意味では、YMO は日本のテクノの父(まさにテクノドン)のみならず、ゲームサウンドの父でもあったわけだ。

 その YMO サウンドを、再び古いサウンドチップで再構築する人たちがいる。なんというか、連綿と流れるコンピューターサウンドの血筋と言えばいいのか、正のフィードバックで閉じたすばらしいループが形成されていると言えよう。

 良く見れば、ボーナストラックの担当は松武秀樹だ。コアな YMO ファンなら既知の人物だが「4人目のYMO」と称される人だ。「COMPUTER GAME "Theme from the Circus"」のチップチューンバージョンは氏の担当だが、これがまたすばらしい。というか、シンセサイザーでエミュレートしていた PSG サウンドを、本物の PSG で乗せ換えた(PSG チップエミュレータによるものだろうが)わけで、ある意味「本物に先祖がえりした」と言えなくもない。

 制限があるからこそ、本当の技量が試される。そう再認識した。

【追記】
 タイトルの「FAMILIAR COMPUTING WORLD」は、もちろん「FAMILY COMPUTER」のもじりだが、後半の「COMPUTING WORLD」は、KRAFTWERK の「COMPUTER WORLD」のもじりだ。今、気付いた。ジャケットもそっくりで遊び心満点。

KRAFTWERK - COMPUTER WORLD


【更に追記】
 タイトーの「スペースインベーダー」の音源は PSG などではなく、オリジナルの音源回路を設計し実装していたようだ。確かに、PSG の時代よりはずっと前の話だ。
[CEDEC 2007]タイトーサウンドチーム「ZUNTATA」によるゲームサウンド発達史入門

 ZUNTATA か。久しぶりに名前を耳にした。「ダライアス」のボディソニックシステムで腰をマッサージされていたのは、いつのことだったか…。そいうえば、以前住んでいたアパートの近くにタイトーの開発部があったな。何もかも、みな懐かしい…。

2008年6月11日水曜日

[ MIAU ] ダビング10アンケート結果を公表

ダビング10アンケート結果概要について
http://miau.jp/1213174800.phtml

 何がともあれ、無事アンケートが終了し、集計ご苦労様でした。> MIAU の中の人
 のっけから「サンプルに偏りあり」と但し書きがあるのがご愛嬌だが、これを書いておかないと、あらぬ方向から「意図的に誘導したアンケートで、さも、インターネットユーザーの総意であるかのように結論を導いている」と突っ込まれかねないので、予防線を張っておく必要はある。

 とはいえ、これが消費者の偽らざる本心であると確信する。専門業者に発注して、サンプルの偏りがないようにしたとしても、そう結果は大きく変わらないだろう。

 ダビング10のゴタゴタは、著作権保持者(の代理人の怪しい団体)とメーカが勝手にもめてるだけで、消費者は全くのカヤの外だ。そもそも、消費者の存在なしには商売自体が成り立たないという鉄則を、どこに置き忘れてきてしまったのか? 消費者がイヤといえば、引っ込めるのがスジだ。「お客様は神様です」と言う人がいたが、あれはおべんちゃらなどではない。

 猛省をお願いする。

2008年6月1日日曜日

Firefox 3 はスパイウエアか?

 リリースが間近に迫った Firefox 3 だが、「開始24時間でダウンロードされた回数」のギネス記録に挑戦するという。ある意味お祭り騒ぎなので、参加してみるのもいいだろう。

Download Day

 某寡占ブラウザにとっては、数字の大きさによっては脅威になるかもしれない。いや、すでに脅威になりつつある。そのセキュティの頑強さがユーザの認識として浸透しつつある今、あるいはと思わせるパワーがある。

 そんなお祭り気分をぶち壊す、同僚の口から飛び出た発言がこれだ。

 「こんどの Firefox って、スパイウエアのかたまりなんですってね」

 ああ、どこでそんなヨタ情報を仕入れてきたんだろう。そういうのは、オープンソースコミュニティが一番嫌うモノではないのか? 断言できるが 100% それはありえない。オープンソースとは、文字通りソースコードを公開するという意味だ。何かを仕込もうとすれば、すぐにバレてしまう。

 同僚はこう続ける。

 「なんでも Mozilla の CEO がそう言ったらしいですよ」

 内心「いい加減な事を言うな」と叫びながら、「それが事実だとすると、社内推奨ブラウザとして指定している管理者として看過できない情報ですので、是非、ニュースソースを教えてください」と聞いた。

 そこで出てきたのが、これ。

FirefoxをWebトラフィック統計に活用する計画が進行中

 ううむ。Web トラフィックを正確に把握する手段として、そういった機能を盛り込む計画があるということらしい。これがスパイウエア情報の元ネタなのか? さらにリンクが2箇所。

Mozillaのステルス・データ・プロジェクトはインターネット初の正確なトラフィック・モニタとなるか?

 この「ステルス・データ・プロジェクト」って表現が恣意的でよくないが、記事を読み進めると、「Data」プロジェクトは、まだアイデアレベルでしかないとある。これだけでスパイウエア認定なのか?

 Mozilla CEO とされる John Lilly 氏のブログはここ。

Mozilla, Firefox & Data

 おやおや、やや炎上気味だったのか? コメントには spyware の文字がたくさんちりばめられている。が、CEO は、このように断言している。

Update 5/22/08: First, I do want to thank everyone for commenting & discussing — this is a serious and important subject that people should care deeply about.

To make a few things clear:

1. There is no secret data project.
2. There is no secret plan to collect user data.
3. We are not already secretly collecting data.
4. Yes, we are trying to figure out how to accumulate and open better data about how people use the web and their browsers; like everything Mozilla does, that starts with discussion like this, and we expect people to have many, many opinions.

As I told Mike, there’s no staff, no project plan, no nothing, really, except a desire to level the playing field in ways that open source itself has. Like everything else at Mozilla, anything we do will be rooted in the fundamentals of user control, data privacy, and transparency with our community and users.

 ほら。はっきりと、秘密のプロジェクトなんか存在しないと断言してるじゃないか。心配した方がバカだった。

 どうも、M$シンパがキャッチーな単語だけ並び立てて、ミスリードさせようとしてたんじゃないかと勘ぐりたくなる。これらの記事から言える事は「スパイウエアを埋め込む計画なんて全く無い」だ。

 件の同僚には、「スパイウエア疑惑は憶測でしかないので、全く問題ありません」と口では伝えたが、内心「ネタ情報に飛びついて、真偽を確かめもせず踊らされるなよな」と毒づいた。

 ダウンロードチャレンジには参加するけど、日本語ローカライズが完了してから使わせていただく。

2008年5月25日日曜日

FLAME は本当に世界最高水準のロボットか?

より自然な歩行が可能なロボットが登場
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/23/news117.html

ホベレン氏は歩行ロボットとしては世界最高水準と述べている。

 ちょ、ちょっと待ってくれ。ASIMO の存在を知らないわけではあるまい。何をもってして「世界最高水準」と断言できるのか?

人間の歩行の複雑な動きを「前のめりに倒れる」というモデルを用いることで、滑らかで効率的にまねできる

 ASIMO は、1990年代初頭には、既に「動歩行」についての基本技術を確立している。何を今更…。いや、まてよ、動画を見てみないことには判断できない。きっと、ASIMO より数段上を行く滑らかさなのだ。

 あっさりと動画が見つかったが、2007年のものらしい。



 ううむ。申し訳ないが、どう大目に見ても操り人形レベルだ。それとも、今年に入って劇的な進化を遂げたとでも言うのか? 謎が多すぎる。

 ASIMO が、目の前で「その場方向転換」をやってのけたときに、鳥肌が立ったのを今でも覚えている。日本の、いや、ホンダのロボット制御技術は間違いなく世界最高レベルだ。

 ASIMO の開発史については、こちら。
http://www.honda.co.jp/factbook/robot/asimo/200011/index.html

2008年5月20日火曜日

“iPod課金”は「突然蒸し返された」わけではない

“iPod課金”は「突然蒸し返された」わけではない
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/19/news100.html

 …かもしれないけど、文化庁の提案は”突然”に感じられるのはなぜ?
結果的に蒸し返されたように捉えられているのはなぜ?

 俳優ジョニー・デップが映画の宣伝で来日した際に、日本の報道陣が「日本のファンに一言下さい」とたずねたところ、

 「ファン? 僕ら(監督ティム・バートンも同席)にはふさわしくない言葉だ。
  映画を見てくれる人がいるから、僕らはご飯を食べる事ができるんだ。
  だから、僕らにとっては、ファンではなくてボスだ」

と答えた。

 いくら文化が云々と言おうが、著作権者が被害を被っていると言おうが、結局は消費するものが満足しないと市場として成り立たないということだ。(ジョニー・デップの発言が、最上級のリップサービスだったとしても、その何割かは本心であると確信する)

 さて、MIAU が、これらの件に関するアンケート調査を行っている。茶番とも言える、権利者とメーカーのゴタゴタに一言いわなければ、とお考えのあなた。是非どうぞ。

ダビング10と私的録音録画補償金に関するアンケート
http://miau.jp/1211089745.phtml

2008年5月17日土曜日

[ IT ] ニュースクリップ

住友電工がオフィスソフトにOpenOffice.orgを採用
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0805/12/news092.html

 某社オフィススイーツの代替品として、充分業務に使用可能であることを裏付けることになる。事実、自分の勤務先でも、OpenOffice で問題なく業務が行えている。無論、導入を推進したのは、ほかの誰でもない自分自身だが…。

 社外に資料を渡すときに、「エクセルで」とか「ワードで」とか指定があれば、その形式で書き出せば済む。先方が OpenOffice を導入していない場合は、PDF で出力すればよい。OpenOffice は、どのドキュメントも PDF 出力が可能だ。しかも、アイコンワンクリックで終了。これでフリーソフトだから、文句はあるまい。

 ただ、マクロ機能については、完全互換ではないので注意が必要。Visual Basic でガチガチに書かれたものでなければ、問題にはならないだろう。


「アイワ」終了 ソニー、製品出荷を完了
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/14/news100.html

 さらば、アイワ。
 ソニーのウォークマンが、もちろんカセットテープのやつだが、買えない貧乏人は、アイワのカセットボーイに走ったものだ。が、そのアイワもいつのまにかソニーの傘下に入っていた。(もともと傘下だったのかもしれない)

 一流品のソニー製品、二流品のアイワ製品というランク付けが、一般的な認知だったと記憶する。しかし、最近のソニー製品は一流とは言えない。昔のアイワランクだ。だいぶん持ち直してきたようだが、モノ作りの原点に立ち返って一流品に返り咲いて欲しい。


「ダビング10」延期問題、「メーカーの主張が分からない」とJASRAC菅原常務理事
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/14/news108.html

「ダビング10」延期濃厚 Dpa「対応を協議中」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/14/news062.html

ダビング10「日時確定できないのが共通認識」、Dpaが状況報告
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/15/news030.html

 誰も望んでいないのであれば無理に開始する必要もないだろう。禍根を残すのであれば、やらない方がまし。そもそも、デジタル放送なんか、国民は喜んでいない。みんながフルハイビジョン映像を求めているわけじゃないことに、いい加減に気づけば?


楽天ブログに書けない“NGワード”
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0805/14/news079.html

 個人的な怨恨で、楽天は、自分の中で「下の下」ランク。全てにおいて気にくわない。ブログにNGワードって、言論統制ではないか。例の青環法がらみで先手を打ったつもりだろうが、そんな付け焼刃な対応で何が解決するというのか。やはり、自分ランキングでは「下の下」だ。


たばこ屋さん、店じまい続出 「タスポ」の負担ずしり
http://www.asahi.com/national/update/0512/TKY200805120172.html


 最初に言っておくと、自分は非喫煙者なので、こんなニュースはどうでもいいというスタンスだが、どうもこう、納得がいかないことがある。

 こうなる事は事前に分かっていたはずなのに、なぜこんな変なシステムを強行導入しなければならなかったのか? これも青環法にからむだろうが、未成年が自販機でタバコを買えてしまうのがいけない、というのがそもそものスタートラインだ。

 ならば、自販機を全部撤去して、タバコは原則対面販売にすればいいだけの話だ。そんな変なシステムを導入する意味なんか無い。そもそも、知り合いのカードを借りてくれば、簡単にシステムをだませるじゃないか。生体認証するわけではないだろ? 一応、それをするとルール違反らしいが、それを取り締まる法律でもあるのか? あったとして、罰則規定はあるのか? 穴だらけじゃないか。

 タバコ販売の許可制についてもちょっと変な話を聞いた事がある。タバコ販売の許可をとるのは、結構難しいらしいが、いったん取得すれば、どんどん更新できるらしい。しかも、家族で引継ぎができるので、例えば、許可をもらった親父が他界しても、子供が引き継げば大丈夫らしい。それって、許可制にする意味あるの?

 実家の近くに、文字通り「タバコ屋」と呼ばれる個人商店があった。自分が子供の頃には、そこの店主は既にかなりの高齢で、もう何十年も前に他界された。店主の子供はよそに出ているので、「タバコ屋」はつぶれたが、その跡地にプレハブが建って、そのカベにはタバコの自動販売機が並んでいる。きっと、そこの子供が「タバコ販売」を引き継いだんだろう。そこに住んでいないのにだ。おかしな制度だこと。

 話は、ズレたが、タスポだかポトスだか知らないが、特定の業者が甘い汁を吸うためのシステムであることは明らか。本来の目的とはかけ離れている。これは、デジタル放送の B-CAS と全く同じ構造だ。「官僚は頭はいいが成功体験から離れられない」と誰かが書いていた。本当にそうか?


ウイルス作成の大学院生に有罪判決 京都地裁
http://www.asahi.com/national/update/0516/OSK200805160039.html

 日本の法律では、ウイルス開発を罰する事ができないので、別件で有罪らしい。これもまたおかしな話。根本的な解決にはならない。このウイルスは、その他のウイルスと同様に、ハードドライブのファイルを勝手に消去するという動作をする。この時点で、器物損壊のような罪名が適用できるんじゃないか?

 あー、そうすると、正規のソフトウエア商品が、バグでファイル消去をした場合とで、どう区別できるのかという話が残るのか。「意図的に」という部分が立証できれば、それで充分だと思うのだが、ダメなのだろうか?

 以上、最近気になったニュース。

2008年5月8日木曜日

NHK が、「かぐや」のハイビジョン映像を公開

NHK、月探査機「かぐや」のハイビジョン映像を公開
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080507/nhk.htm

 月周回衛星「かぐや(SELENE)」に搭載された、NHK 謹製ハイビジョンカメラで撮影された高画質映像について、広く一般に公開されている状態ではないと、ネット上のあちこちで批判されていたのは、ご存知のとおり。

 MIAU も、公開質問状という形で NHK に疑問を投げかけており、それに対する回答を NHK から既に得ているのも、ご存知のとおり。

 ・「かぐや」ハイビジョン映像公開に関する質問状の送付について
 ・NHKより質問状へのご回答をいただきました

 NHK の回答には、「高画質のストリーミングを行うデータ転送容量がない」とあったが、突然の公開となった。MIAU の公開質問状が、どれだけ影響したのか知る由も無いが、少なくとも、NHK が公開方針を転換するきっかけにはなったのだろう。

 これまで、携帯ゲーム機向けかと勘違いするほどに小さなサイズの映像しか公開されていなかったことを考えると、格段の進歩である。最初からこれをやってくれていたら、ネット上でブーイングの嵐も吹き荒れなかっただろう。

 ただ、惜しいのは、オリジナル映像が 1920x1080 のいわゆるフルハイビジョン仕様であるところを、公開されている映像が 1280x720 である点だ。これでも、一応ハイビジョンの範疇に入るらしいので、とりあえずは良しとするが、最終的にはオリジナル映像の配信をお願いしたいところではある。どうか、その点、よろしく。> NHK さま、JAXA さま

2008年5月6日火曜日

iPodに「著作権料」上乗せ

iPodに「著作権料」上乗せ 文化庁提案へ
http://www.asahi.com/culture/update/0505/TKY200805050202.html

 文化庁が提案したのではなくて、権利者団体の圧力で動かされてるだけだろう。私的録音録画補償金制度の意義はある程度認めるが、新製品が出るたびに適用範囲を拡大していく姿勢には全く賛同できない。

 例えば、iTunes Store でしかコンテンツを買わないユーザがいたとして、彼らからも有無を言わさず保証金を巻き上げる事になるが、それは正しいのか?

 例えば、買ってきたパッケージ CD をデジタルオーディオ機器に落としたとして、iPod に限らずそれを保証金の対象にするならば、著作権使用料の二重取りにならないのか? 自分の買ったコンテンツを、自分の買ったデバイスに落とすだけで課金されるのは、一般的な消費者感情として極めて不自然と感じざるをえない。

 では、レンタル CD をリッピングしてデジタルオーディオ機器に落とす消費者は、著作権使用料を払い逃げしてるのか? ここによると、レンタル店から、レンタル回数に応じた著作権使用料が権利者に支払われているとある。この著作権使用料はレンタル代金に上乗せされ、実質的には消費者が支払っていると解釈できるが、ここでも二重取りの問題が浮かび上がる。

 リッピングが横行して、CD の売り上げが落ちているから、その保証ため? その根拠となる調査はどこがいつ発表した? 信頼のおける第三者機関なのか?

 CD の売り上げが落ちている原因としては、様々な点が指摘されている。

 ・そもそも、ヒット作不在
 ・娯楽の多様化で、可処分所得がほかに流れている

などだ。

 コンテンツで真っ向勝負するどころか、消費者から怪しい名目で小銭を巻き上げる構造は、詐欺に近いものがある。本当に著作権者(コンテンツホルダーではない)が困窮して商売ができなくなるなら、消費者にもコンテンツが届かなくなる。そんなことは消費者も分かっている。本当にカネを出す価値のあるものには、惜しみなく対価を払うだろう。正体不明の怪しい団体が間に入ってもらわなくても、全然困らない。むしろ、必要ない。

 ゲーム業界には、私的録音録画補償金制度なんてない。コピー防止対策を充分に取っていることもあるから一概に比較できないが、コンテンツのみで勝負している厳しい業界だ。(コピー防止に巨額を投じているので、相当な自助努力をしている事には間違いない)

 国をバックにつけて、コソコソ小銭を集めてないで、少しは見習ったらどうだ? 「ダビング10拒否」が秘策だ? 拒否したらいい。消費者不在で、メーカーと延々と喧嘩してろ。いつまでたってもおいしい実はならない。それで一番困るのは自分達だ。音楽も映画も生活必需品じゃないことを忘れるな。

2008年5月4日日曜日

インフルエンザ・パンデミックの予兆

 まず始めに、この記事はいたずらに不安をあおるつもりで書いているわけではない。その点をご理解の上、読み進めて欲しい。

 最近、新型鳥インフルエンザ関係の記事を良く見かけるようになったが、新聞などの記事を読み進めると、意外と信号が黄色になりかけている情況ではないかと感じた。

新型インフルエンザ:鳥インフルワクチン、1000万人事前接種へ
http://mainichi.jp/select/science/news/20080415dde001040044000c.html

 このニュースが異様なのは、新薬の認可が諸外国に比べて遅いと批判されがちな厚生労働省が、プレパンデミックワクチンを臨床試験として6000人に接種するというのだ。ちょっと考えられない事態だ。かなりあわてているように思える。それほどまでに、インフルエンザ・パンデミックが近づいているということなのだろうか?

 また、国立感染症研究所感染症情報センターのページにある、WHO 報告による鳥インフルエンザ感染者数推移をみる限りでは、徐々に増加傾向にあると言えるだろう。

WHOに報告されたヒトの高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)感染確定症例数
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/case200800/case080430.html

 感染症の流行について詳しいわけではないが、このような数値は、指数関数的な推移を示すのではないだろうか? 数値が小さいうちは変動も小さいが、ある時点を境に爆発的な増加に転ずる。

 今朝の某地方紙に、鳥インフルエンザが流行した場合、市民の通勤通学などの外出を規制した場合とそうでない場合の、感染拡大のシミュレーション結果が発表されたという記事が掲載された。外出し人ごみに入れば、それだけ感染拡大リスクが増大するということだ。

 記事にあった、感染拡大予想図(地図上の感染者拡大の様子)を見たとき、正直鳥肌がたった。不謹慎かもしれないが、映画「アウトブレイク」を思い出した。地方都市に突然出現した、未知のウイルスに立ち向かう軍医を描いた映画だ。国防省が感染拡大予想シミュレーションを行うが、またたくまに地図上を赤い丸がおおうというシーンがあった。それを思い出した。

 「アウトブレイク」は娯楽映画だが、もし、エボラ出血熱(劇中では、その亜種という設定になっている)が全米で大流行したら、というシミュレーションでもある。この映画の場合、突然ウイルスを持ち込まれては拡散を防ぎようがないという描写だったが、鳥インフルエンザの場合、まだ対策を講じる時間が残されているだろう。政府は、一切の情報を隠蔽することなく広く国民に開示し、粛々とウイルス対策を進めていって欲しい。

2008年4月28日月曜日

[ MIAU ] シンポジウム「青少年ネット規制法について考える」を開催

シンポジウム「青少年ネット規制法について考える」
http://miau.jp/1209319200.phtml

 あちこちで、法案反対の声が上がっている中で、MIAU がシンポジウムを開催する。普段、ネットで情報をかき集めている方も、可能であれば、こういう場に実際に出向いてみて、様々な意見を直接自分の耳で聞くという事も大事じゃないだろうか。

 一人でも多くの参加者が集まり、有意義なシンポジウムになりますように。

2008年4月26日土曜日

2011年の地上波アナログ終了、TV画面スーパーで周知

2011年の地上波アナログ終了、TV画面スーパーで周知
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20080425-OYT1T00669.htm

 いや、それ迷惑だから、やめて。

 地上デジタル放送対応テレビの普及が思ったより進まないんで、アナログ放送を視聴し続けている国民へ嫌がらせをしたいわけだよね。B-CAS とか分けわかんないカードがないと見れないテレビに強制的に買い替えさせられるわけだよね。

 日本放送協会と、WOWOWと、東芝と、松下電器産業(パナソニック)と、日立製作所と、NTT東日本が主な株主になっている、単なるいち企業が管理しているプラスチックのカードを、国民すべてのテレビにつけさせて、つけなければ見れなくするんだよね。シロウト考えでも、これって「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」に違反してるよね。

 Wikipedia によると、

事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもってするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することを言う(2条5項)
と書いてあるんだけど、これに全く抵触してないんですか?

 たとえ地上デジタル放送に完全移行できたとして、現行のアナログ放送テレビは粗大ゴミ化するんだけど、その対策は練られてるんですか? 現行、テレビはユーザーがリサイクル費用を払って再資源化することになってるんだけど、一気に大量発生するゴミ(アナログテレビ)を全部処理し終わるのに、何年かかると見積もってるんですか?

 いくらなんでも、無策過ぎ。

地上デジタル放送FAQ ← 参考サイト
http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/faq.html

2008年4月23日水曜日

[ MIAU ] 「かぐや」高画質動画インターネット公開について NHK より回答あり

NHKより質問状へのご回答をいただきました
http://miau.jp/1208959200.phtml

 4月11日には回答が届いていたらしい。予想していたのは「回答期限が過ぎても無視を決め込む」だったので、ちょっと意外だった。NHK って、けっこうまともな団体なのかもしれない。

 回答の要点は以下のとおり。

・高画質動画をインターネットで公開をしない理由
 →高画質のストリーミングを行うデータ転送容量が無い

 いやいやいや…。NHK さまほど、運営資金が潤沢な団体が、ネット回線を準備できないってウソくさいですよ。

・NHK と JAXA の間で、どのような取り決めがあるか
 →商業利用以外は無償

 うーんと、商業利用は有償ってことは、要するに、パッケージ販売を希望する会社には金さえ積めば売るってこと? でも、それを買うのは、受信料を払っている国民だよね。アニメ番組のパッケージ販売とは、ワケが違うと思うんだけど。

・高画質動画のネット公開の計画と、学術機関への資料提供の実績
 →学術機関への資料提供は、さまざまな方面へ行っている
 →ネット公開は前向きに検討

 「前向きに検討」って「本当は検討する気なんかないけど、いちおう考えとくね」って意味の常套句じゃないの? 全く持って説得力なし。
 いっぽう、学術機関への資料提供は、地道にやっているみたいで、そこはしっかりと公共放送事業者としての責任を全うしていると評価できる。NASA にも提供してるんだね。なんか、ちょっと誇らしいよ、日本人として。

ディスカバリーチャンネル・カナダの件について言及されてなかったけど、無かったことになってるんだろうか?

[ MIAU ] 青少年ネット規制法に反対する共同声明を発表

共同声明:私たちは青少年ネット規制法案に反対します
http://miau.jp/1208861775.phtml

「青少年ネット規制法に反対します」――MIAUとWIDEプロジェクトなど共同声明
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/22/news116.html

MIAUなど12の団体・個人が“青少年ネット規制法案”に反対声明
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/04/22/19327.html

 MIAU は、既に「青少年ネット規制法案」に対し問題点を指摘していたが、ここにきて強力な賛同者を得た。注目すべきは、ミスター・インターネットこと、村井純慶応義塾大学教授率いる WIDE プロジェクトが、賛同団体として名を連ねていることだ。日本のインターネット草創期を支えた団体だ。

声明の要点は、

 ・法案は、インターネットに過度の規制をかけることになり、国民の対応コストが甚大となる
 ・有害情報への対応は、まず、青少年の情報リテラシーを向上させることが先決である
 ・国家による統制ではなく、民間の自主規制に任せるべき

の3点となるか。

 自分は「情報リテラシー向上案」には強く賛成する。国内において、パソコンが文字通り「パーソナル」になりえたのは、Windows95 が発売されてインターネットの商利用が本格的になり始めた頃からだ。それを考えると、パソコンが市民権を得て、高々12,3年というところではないだろうか。かつては、情報リテラシーとはパソコンの使い方を、言い換えるなら Windows や、ワードやエクセルの使い方を知っていることと同義であっただろう。しかし、本来の意味合いである、インターネットの「使い方」や「流儀」を心得ている者がどれだけ居るのか、という話だ。

 新しいテクノロジーが社会に出現すると、まず拒絶反応を示すのは、ロートル連中だ。決して肉体的な老化を指し示しているわけではなく、脳みそ、つまり考え方が硬直してもはや機能していない連中を指す。何か、得たいの知れないものが登場すると、対処しきれずにとりあえず見えなくしようとする。

 冗談ではない。インターネットは犯罪者の温床ではない。インターネットは、得たいの知れないサイバー空間などではなく、コンピューター同士をつなぐネットワークにしか過ぎない。ただ、そのネットワークの先にぶら下がったコンピューターのモニターの前に、生身の人間が座っているという事実があるだけだ。結局、リアル社会の射影でしかないのだ。

 であるならば、「知らない人に声をかけられても、ついていってはいけません」というリアル社会の危機管理教育のインターネットバージョンをきちんと準備すべきだ。人手が足りなければ、インターネットで呼びかけろ。善意の住人が、多くの知恵と力を貸してくれるだろう。

 もちろん、オレも協力する。つまらない権力の横暴に、だまって指をくわえているわけにはいかない。

2008年4月18日金曜日

観測史上で最重量のブラックホール発見

太陽の180億倍、観測史上で最重量のブラックホール発見
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080417-OYT1T00410.htm

 そもそも全てを飲み込んでしまうブラックホールは直接観測できないそうだ。光をも飲み込むのだから、当然といえばそれまで。が、しかし、自然科学の基本は「客観的な観測データ」である。ブックホールの存在は、それ自体が周辺宇宙に及ぼす影響から「計算上存在する」と認定を受けている状況らしい。そこがブラックホールの面白さでもある。

 さて、記事にあるブラックホールだが、観測史上最も重いそうだ。太陽の180億倍とは何キログラムなんだ、と、想像の枠をはるかに超えている。「観測史上」であるから、観測機器の性能向上に伴って、記録がどんどん塗り替えられていくであろうことは想像に難くない。

 では、理論上最も重いブラックホールの重さはいったい何キログラムなんだろうか? 宇宙物理学を研究しているわけでもない身には見当もつかないが、シロウト考察で導くならば、宇宙がビッグバンで「始まった」時点の宇宙の重さが、理論上最も重いブラックホールの重さではないだろうか?

 逆に、最も軽いブラックホールとはどんなものだろう? 理論上ではマイクロブラックホールは存在するが、すぐに「蒸発」してしまうらしい。「蒸発」の意味が分かりかねるが、とにかくそういうことらしい。ホーキング博士に解説してもらおう。

 発見されたブラックホールは、別のブラックホールが周回軌道をとっているという点で、これもまた非常に珍しい天体と言えるのではないだろうか? 直径2兆キロを12年周期で回っているらしい。時速何キロなんだろう?

 問題を単純化するために、直径2兆キロの正円軌道だとすると、算数でならった円周の計算式から、次のようになる。

  軌道の道のりは、2兆キロ x π = 6.283兆キロ
  12年は、秒数に換算すると、12 x 365 x 24 x 60 x 60 = 378432000 秒
  距離を時間で割ると速度になる。
  6.283兆キロ ÷ 378432000 秒 = 16603.2 km/s

 おおう。秒速1.6万キロ。何か計算間違ってない? 光の速度が秒速約30万キロなのを考えると、それほどの数値ではないかもしれないが、実生活の尺度で考えればケタ違いな速度と言える。実際には長径を2兆キロとする楕円軌道だろうから、これよりは幾分は小さな値になるだろうけど、それでも相当にケタ違いな速度であることには変わりない。

 宇宙っておもしろいな。

2008年4月11日金曜日

[ JAXA ] JAXA が「かぐや」のHDTV月映像をネットで公開

月周回衛星かぐや画像ギャラリー
http://wms.selene.jaxa.jp/index_j.html

>ハイビジョンカメラがとらえた、地球の出と入りの DVD 品質で MPEG ダウンロード可能な動画を追加しました。

サイズ 720x480 とはいえ、これまで公開されていたものに比べれば格段に高画質のものであり、HDTV映像公開に関して大きく一歩前進したと言える。(本当は、フルハイビジョン映像が欲しいところだが…)

今回の公開は、MIAU が NHK へ宛てた公開質問状が少なからず影響を与えたと考えていいだろう。この調子で、公開をどんどん進めていってもらいたいところだ。

>今後とも、NHKと協力しながら、高解像度のHDTV映像を掲載していくように努力していくつもりです。

…という一文が、JAXA が抱える悩ましき事情が存在することを物語っている。もちろん、それは NHK に他ならないのだが、NHK から MIAU に対する公開質問状の返答はまだ返ってきてないようだ。本当に一ヶ月で返答が来るのだろうか?

2008年4月9日水曜日

[ MIAU ] 青少年ネット規制法案についてのプレスリリース

MIAU 大本営発表あり。

青少年ネット規制法案についてのプレスリリース
http://miau.jp/1207693923.phtml

>有害基準の問題

強烈に同意。これは前に書いたとおり。有害か無害かを国が選定した委員で決めてしまうことの問題は、あまりにも大きすぎる。検閲行為以外の何ものでもない。だいたい、こんなのに国民の理解が得られるわけがない。


>個人ウェブサイトなど非商業的運営者が対象になっている点

個人のページも対象なのか? ううむ。
例えば「キライな先生を不登校に追い込む3つのテクニック」とかを冗談半分で書いたとしても、有害情報指定されて削除するか、18歳以下がアクセスできないように対策を講じなければならなくなるんですね。ありえない。


>フィルタリングの技術上の問題点
>現時点でこれらの責務を果たせるのはごく一部の限られた親であり

すごくアナログな手法だけど、「PCはリビングに置く。ネットを見るときは親が一緒にリビングに居る」と、たったこれだけだけど、ウチでは強力なフィルタリングになってます。
一緒に見てなくていいんです。親が後ろにいるってだけで強力な抑止力になってます。


>知る権利の侵害
>サイト単位でまとめて規制されてしまう可能性が高く

ああ、これは非常に困りますね。有害サイト指定をうけるわけですね。自分の主義や主張に関係なく。ありえない。


>教育という視点の欠如
>何が危険かを教えていくことが大事

昔、エンピツ削り用に切り出しナイフの小さいやつを持ってるのは、そんなにレアケースではなかった気がします。かなり昔だけど。
で、やっぱり不器用だから、自分で指を切ったりするんですよね。それで、ナイフって便利だけど正しく使わないと痛い思いをするってのを学習するわけですよ。
多分、そういう経験をしてるヤツは、間違ってもナイフで人を刺そうとは思わないです。だって、指を切っただけで、あんなに痛いんだもん。

子供からナイフを取り上げるだけでは、なにも解決しませんよ。


>経済的な問題点
>PCメーカーにフィルタリングソフトのプレインストールを行うことを、努力義務として課しています

ちょっと阿呆すぎてコメントできません。自分のPCに余計なプリインストールソフトが入っているだけでイライラするのに、ありえないでしょ。


本当に、この人たちは何をしたいんだ?

2008年4月6日日曜日

何でも規制すればいいってもんじゃないでしょ

こういうのを青天の霹靂っていうんですかね? この国はいったいどこへ向かいたいんだろうか?

ネット規制を競う自民・民主・総務省
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f9a907ff7686abe56706da31d1932c5a

日本の子供たちからインターネットが消える日
http://ofo.jp/blog1207249431.phtml

リアルメディアが青少年ネット規制法案のヤバさを報じない訳
http://ofo.jp/blog1207433498.phtml

ここいらのページを斜め読みすると、次のような背景が読み取れる(と思う)

・これまで、青少年を有害情報から守るためと謳う、市民から様々な権利を奪う力を持つ法案が、浮上しては消えるということが繰り返されてきた

・それはマスコミ(新聞、放送、出版などの業界)からの強い反発があったから。憲法に保障されている「表現の自由」を侵害しているとか、「検閲行為だ」という理由が主だったところ

・青少年を有害情報から守りたい人たちは、こんどはインターネットをその標的にしてきた

・インターネットなら、大した反対勢力も無いし、そもそもインターネットなどという、実体の無いいかがわしい空間は規制の対象にしても誰も文句を言うまい、という論理か?

・インターネットが陥落したら、本来のターゲットであるマスコミを総攻撃する

…と、いう事になるけど、間違ってる?


いろいろ言いたいは山ほどあるけど、順番にいってみようか。

・有害かどうかの判断は誰がどうするの? そもそも、それが正しい判断かどうかは誰が保証してくれるの? そのなんたら委員会の人間をだれが選定するの?
 → ぶっちゃけ、国権の思い通りになるじゃん。言論統制ですか? 戦時中ですか?

・だいたい未成年が使えないインターネット(the Internet って表記すべきなのかな、この場合)って意味がわかんないよ
 → 政治家さまは、インターネットがどんな歴史をたどって現在に至り、人間文明の発展にどれだけ大きな貢献をしてきたのか、全く理解が足りてないと断言する

・有害情報から隔離するなんて所詮無理だろ
 → 毎日まいにち、ニュースから流れてくるのは、殺人だ、強盗だ、やれ横領だって、そんなのばっかりだけど、これは有害情報じゃないんですか? ニュースの内容を規制しなくていいんですか? どこそこさんのお家でネコが3匹生まれました、ってニュースしか流したらいかんのじゃないの?

・そもそも、そういうのは親の仕事だ
 → これにつきるね。ウチの子にどんな情報を与えるかは、オレが決めるから、口出しせんでくれ

もっと決めなきゃいかんことは他に山ほどあるでしょうが?

2008年2月19日火曜日

MIAUシンポジウム「ダビング10について考える」を開催

シンポジウム「ダビング10について」のご報告
http://miau.jp/1200619927.phtml

 こういう話題は水物なので、その瞬間に取り上げないと鮮度が落ちる。なので、ひと月以上も経過して取り上げるにはかなり勇気が必要だ。いや、なんて事はない。記事を書く時間が持てなかっただけだ。時間がなかっただけで、書きたいことがなくなったわけではない。

 シンポジウムは YouTube で拝見したが、発表者の中ですさまじい破壊力を披露した池田信夫先生の主張がこの問題に対する解決策の結論だろう。つまりは、「そもそも B-CAS は独占禁止法違反なので、即刻廃止すべし」だ。

 「著作権保護だ」「違法コピーが著作権者に甚大な被害を与えている」
 「根拠のない被害数字だ」「デジタル放送のコピーは一回限りだ」
 「それでは消費者の利便性が失われる」「では10回ならいいだろう」「それはダメだ」

と、延々と貴重な時間(と国税)を浪費してなお、落としどころが確定しない。省庁の審議官でなくとも何をしているのかと言いたくなる。だが、問題の本質はそんなところではなく、そもそも無料放送に CAS がついていること自体がおかしいのだ、という池田先生の主張だ。

 氏のブログにある「地上デジタル放送FAQ」に詳しい経緯が記されているが、これに目を通すと、デジタル放送開始の決定は中央省庁の適当な御都合主義の産物であり、なんら十分な議論がなされていない状態で見切り発車した事がよく分かる。そればかりか、場当たり的な政策で無駄な税金を垂れ流してきた経緯が明らかとなっている。

 もっとも驚くべきは、B-CAS がいつのまにか勝手に地上デジタル放送に組み込まれている事実である。放送法に詳しいわけではないが、国会審議も通さずにこのような重要な仕組がさも当り前のように組み込まれている事自体が違法ではないのだろうか?

 B-CAS そのものの出生も怪しさ満載である。ペーパーカンパニーがすべての権利を握っているなどと、何がどうしたらそういう芸当が可能であるのか、頭の悪い自分にはさっぱり理解できない。このあたりは、道路公団と ETC 関連会社との関係に非常に良く似た悪臭がただよっている。問題が起きればさっさとつぶして何食わぬ顔をするつもりなんだろう。ただの天下り先で、勤務実態も無いのに退職金だけはたんまりぶん取っていくという、いつものアレだ。

 いつから、この日本は、このような魑魅魍魎がウヨウヨする妙な国になってしまったのだろうか? いや、もともとそういう国なんだろう。これじゃ、若い世代が将来に夢も希望も持てなくて当然である。利権の甘い汁を吸いつづけている、社会的寄生虫はさっさと駆除しなければならない。

2008年1月7日月曜日

MIAU が、シンポジウム「ダビング10について考える」を開催

シンポジウム「ダビング10について考える」開催のご案内
http://miau.jp/1199692800.phtml

MIAU が、「違法ダウンロード問題」の次の大きな活動目標である「ダビング10問題」についてシンポジウムを開催する。

そもそも「ダビング10って何?」という人がほとんどではないだろうか?
知らなくて当然だ。「違法ダウンロード問題」と同じように、国民の目の届かないところでコソコソ進められているのだから。

ぶっちゃけ話をすれば、ダビングが1回だろうが10回だろうが、自分にはあまり関係ない。なぜなら、ハードディスクレコーダを持っていないからだ。理由は至極単純。「録画してまで見たい番組なんか無い」だけ。

昨今のテレビ番組にさほど魅力を感じない。魅力を感じないどころか、子供に見せたくない低俗なものがかなり目に付く。わざわざ高額な出費をしてまで録画する気がしない。

もちろん録画する気が全くゼロではない。NHK スペシャルなどの科学番組は録画して残したいと思うことはある。しかし「録画できなくてもそう困らない」ので、やはりその気は限りなくゼロだ。


本題から逸れたが、デジタル放送コンテンツの「コピーワンス(正確にはムーブワンス?)」のルールを緩和し、「コピー9回+ムーブ1回」にしましょうという話になっている。が、一見緩和に見えて本質的にはあまり代りばえがしない、という問題である。

このあたりの事情や経緯は勉強中だが、ここを参考にして予習しておくと良いだろう。

2011年の地デジ放送完全移行時に、強制的にデジタルテレビに買い替えさせられた人々が、「さて録画をしたいんだが」という時に、「なんて使いづらいんだ」と思わなくて済むように、いま、行動を起こさなくてはならない。

2008年1月3日木曜日

戦争体験と情報技術

帰省して義父と酒盛りをしていて、義父が携帯電話を持ちたがらないことが話題に上った。義父が言うには、「自宅の(固定)電話があれば何も不自由ではない。それに、いつでも電話にでなければならないので、携帯電話は持ちたくない」とのこと。

こちらとしては、いつでも連絡が取れるように持ってほしいのだが、昭和ヒトケタ生まれに限りなく近い御仁には、このような文明の利器はお気に召さないらしい。せめて携帯メールだけでも使えるようになってくれるといいのだが…。

それではパソコンもインターネットも興味は無いのかと聞くと、「文章を書くならワープロがあるし、調べ物は図書館に行けばよい」という。ワープロは OK らしい。ワープロが扱えるならパソコンも大丈夫だろう。インターネットの有用性を力説すればあるいはと、あれやこれやと説明をした。

そして、酔いも手伝っていたからか、自分の口から思いもよらぬ提案が飛び出した。

 「オヤジの教員としてのノウハウをまとめ、インターネットで発信すべきだ」

義父は定年まで勤めあげた小学校教諭だった。定年した今では、当然のことながら現場からは離れ、悠々自適の毎日である。現役だったころに蓄積したノウハウは、オヤジの頭のなかに閉じこもっているだけだ。これは、ある意味社会的損失である。

さらに、自分の口からこういう提案も飛び出した。

「戦争時の体験を聞かせてくれたことがあったが、それらをまとめてインターネットで発信すべきだ」

オヤジは、終戦時には小学校に入るぐらいの歳だった。鹿児島の離島は、沖縄と同様に米軍の激しい攻撃を受けていた。毎日のように、グラマン戦闘機が編隊を組んで頭上を飛び回っていたそうだ。オヤジの脳裏には、その時の映像が VTR のように正確に記録されている。だいたいは酔った席で戦時中の話をしてくれるが、驚くほど詳細で正確な、時系列にそった事象を記憶している。

戦後 60 年以上が経ち、先の大戦の記憶も薄れようとしていると言われる。確かにその通りだろう。自分も戦後生まれだ。戦争の記憶などあるわけがない。
だが、両親や祖父母が戦争体験者なので、事あるごとに戦時中の話を聞かされて育ってきた。だから、戦争の恐ろしさを 100% といわないまでも、確実に刷りこまれている。

だが、いまの若い世代はどうだ? 親はもちろん戦争体験者ではない。生まれた時から何不自由なく生きてこられた。深く考える機会がなければ、戦争など絵空事か歴史教科書の記事にしか思えないだろう。

だからこそ、オヤジの体験は後世のために残さなければならない。オヤジは、戦争体験をまとめて本にする事を考えなかったわけではないらしい。だが、いざ出版となると費用など様々な高いハードルに阻まれて、そう容易には事は進まなかった。

そう、だからこそインターネットなのだ。この世には手軽で安価な出版システムがあるではないか。酔っ払った頭でオヤジを口説きながら、本気でそう思った正月だった。