2010年7月23日金曜日

自分の転身のこと

 一年もブログの更新ができないままだった。この一年間は自分にとって激動の一年だった。これを機に自分の事を書こう。

 私は、新卒で採用されてから昨年まで、ゲーム業界でプログラマとして活躍してきた。都合4社ほど渡り歩いてきたが、転職の理由はいろいろあった。一番多かったのは会社の経営が行き詰っているのを察知して事前に自主退社するというパターンだった。しかし、最後の会社に在籍していた昨年秋のこと、それは突然振って湧いた。

 「会社の経営経営不振に陥っているので本日付けで解雇したいと思います」

 耳を疑った。通常、解雇する場合は事前通知が必要なはず。しかし拒む事もできず瞬時に職を失った。ある程度は会社の状況を伝え聞いていたので、そういう日が来るかもしれないという心構えはあった。それにしても突然過ぎる。

 ご存知の方も多いと思うが、ゲーム業界は業績不振にあえぐ会社がバタバタと倒れており、たとえ大手といえども早期退職者を募るなど、一時期の勢いは見る影もなく衰退している業界となった。最後に在籍した会社は小規模な開発専門会社で、数年かけて開発したタイトル2本の売上が芳しくなく、あっという間に資金がショートしたらしい。経営者の問題もあったかもしれないが、こういう環境ではいかんともしがたい状況だった。

 会社はなくなっても新しい仕事先を見つければいい。そう楽観的に考えていた自分は甘かった。いわゆるアラフォー世代で20年以上ゲーム業界で頑張ってきたという自負はある。しかし、そのような厳しい業界情勢の中、賃金の高い人間をそう安々とは雇ってはもらえない。地元のゲーム開発会社に数社打診した。長年培ってきた経験やスキルを評価してもらえると思った。だが、結果は散々だった。

 プログラマ職ということで IT 業界にも数社打診したが、同じプログラマでも IT とゲームでは畑が違いすぎるという事実を初めて思い知らされた。「基幹系システムの構築のご経験は?」「勘定系のシステムはいかがでしょう?」ゲーム開発しかやったことが無い人間にそれを聞いても意味はない。

 そうこうしているウチに雇用保険受給期間が終了してしまい、完全に収入がなくなってしまった。もう後が無い。そう考えるともう絶望の底にたたき落とされたも同然だった。

 「このままでは何もかも失ってしまう」

 でも考え直した。ここまで落ちればこれ以上落ちることはない。やれることをがむしゃらにやってみるしかない。そう思考を転換させるのにはあまり時間はかからなかった。私はゲーム開発しかできない。そうであればゲーム開発で食える道を探せばいいだけだ。

 実は、最後の会社の在籍中に、将来的には独立したいという気持ちもあって、iPhone App の開発について調査をしていたところだった。個人で元手もないところから、そこそこの収入(この場合毎月食べていけるだけの収入という意味)を得るための近道として iPhone App を選択した。

 それから約4ヶ月、脇目もふらず、休みもとらず、黙々とアプリ開発に勤しんだ。まずは AppStore に出品すること。そしていくばくかでも収入を得ること。時間に余裕はない。文字通り必死に開発に取り組んだ。結果、それ相応の物に仕上がったので、Apple に提出するところまでこぎつけた、というのが現況である。

 ゲーム業界はどこもジリ貧だ。いつまでも会社にしがみついてないで、自立の道を選ぶことができたのは不幸中の幸いと思う。まだ実質的な結果は出ていないが覚悟はできている。できるまでやるだけだ。