2009年3月10日火曜日

K&R石田晴久氏が死去

石田晴久氏が死去 UNIX、インターネットの国内普及に尽力 - ITmedia News

 卑しくもインターネットの端にぶら下がっている以上、村井純という名前ぐらいは聞いた事がある。が、正直なところインターネット関係で石田晴久という名前にピンとは来なかった。

 だが、プログラマの端くれであれば、K&R 本の石田と言って思いつかないヤツはモグりだ。K&R 本とは何か? という点についてはググっていただくとして、かいつまんで話すと、生みの親である、カーニハン(Brian W. Kernighan)とリッチー(Dennis M. Ritchie)によって書かれた、プログラミング言語Cの解説書のことを指す。

 当初はシステム記述言語(UNIXシステム)として開発されたが、現在ではアセンブラの代わりに使える高級言語として、主にメモリや CPU パワーに制限がある分野で活躍している。(もちろんそうでない場合もある)

 今でこそ、書店の技術書コーナーに行けば、C言語の解説書が山のように並んでいるが、20年前には数えるほどしかなかった。その中で、言語設計者自ら書かれた解説書であるというウリは強力で、C言語を習得しなければなければならない技術者は、必ず一冊は買い求めて読み漁ったはずだ。このあたりが、K&R 本が「バイブル」と比喩される所以だ。

 自分の手元にも20年前に買い求めたものが一冊あるが、ページの端は手垢で汚れている。教科書よろしく赤ペンでアンダーラインを入れたり、良く見るページにはポストイットが貼られ、それも擦り切れて外れてしまうほど何度も何度も読んだ。正に、プログラマにとっての「バイブル」である。

 さて、遠回りしたが、その K&R 本の日本語訳を担当されたのが石田氏である。この本の重要性にいち早く気付き、日本語訳を担当されたその業績は賞賛に値する。この本で一人前になっていったプログラマは、決して少ない数ではないはずだ。

 改めて経歴を拝見すると、日本のインターネット黎明期を支えた重要な人物であったようだ。こうした先人たちの汗の上に、自分たちの今があるのだとうことを忘れないようにしよう。そして、先人たちと同じように汗をかき、後進のものたちに行き先を示す事ができる人になるように努力しよう。

 最後になったが、石田晴久氏のご冥福をお祈り申し上げる。