コラム: 「新型ASIMO」のフィギュアが登場!~フィギュアで実感、ASIMOの進化~
うーん、こんなすばらしいものが売られていたのか。知らなかった…。ASIMO といえば、泣く子も黙るホンダ謹製自立歩行ロボットだ。そういえば歩行どころか走って見せてくれた事もある。って、もう3年も経つのか…。
ASIMO が、日本の、いや世界の、人間型自立歩行型ロボットの最高峰であることは間違いないが、世界的大不況のあおりで、研究費を削られ開発が進んでいないのではないかと、要らぬ心配をしたりもする。
オフィシャルサイトの「ロボット開発の歴史」のページによると、ホンダのロボット研究開発が、80 年代からスタートしていたという。自動車メーカーがなぜロボット開発なのだ? という疑問はある。しかも、形になるまで数年は世間に公表していなかった。
ホンダは常に挑戦者なのだ。創業者本田宗一郎がそうであったように。物作りを生業としている自分にとっては眩しいぐらいの崇高な精神だ。更に前へ、更に上へ…。その結実として、ASIMO が在る。
単なるカネ儲けだけではない、良いものを作るのだ、という精神。これは、戦後の焦土の中から日本を立ち直らせてきた先人たちが、みな持ちえていたものではないだろうか。
では、今はどうだろうか? 学生の理系離れが叫ばれ始めて久しい。文系出身者でも物作りは可能だろうが、理系の教育を受けた者に肩を並べるには並大抵の努力では無理だ。資源の乏しいこの国では、良い物を作るために必要なもの、すなわち、理系の知識とそれを具現化できる技術が必須だ。理系離れだけは、なんとしてでも食い止めなければならない。
技術立国ニッポンと呼ばれたのはいつの事だったのか。それが残念でならない。
2009年3月24日火曜日
新型ASIMOのフィギュア
2009年3月18日水曜日
任天堂と特許訴訟
任天堂、ゲーム機めぐる特許訴訟で勝利 - ITmedia News
10年以上前、日本のゲーム機メーカーが、特許を侵害されたとして米個人発明家から特許料を請求された事があった。このとき、任天堂は、さっさと和解金代わりの特許料を支払った。
しかし、セガ(当時、セガ・エンタープライゼス)は違った。技術的にみて、全く異なるものに対して払うカネなどないと突っぱねた。そして訴訟へと発展する。結果、裁判に負け、多額の和解金を支払うこととなった。
コイル氏特許とセガ
米国では、個人が大企業を訴えることはままあるらしいが、裁判で真っ向勝負となると、大企業が個人を攻撃してると見られがちなので、企業側がさっさと負けを認める傾向にあるらしい。そのあたりの事情を知っていたかどうかは分からないが、任天堂は、早い段階で和解金を支払っている。
スジの通った行動をとって大きなツケを払う事になったセガ。それと対照的に、さっさと和解に持ち込んで出費を抑える事ができた任天堂。どっちが、「正しい対応」のだったのだろうか?
今回は、原告が企業だったので、容赦なしだったということか?
ラベル: ビデオゲーム
2009年3月17日火曜日
女性型ヒューマノイドロボットは、電気羊の夢をみるか?
産総研、女性型ヒューマノイドロボット「HRP-4C」を発表~ファッションショーにも登場予定
多分10人中9.9人はそう思っているだろう。そこをあえて突っ込む。
気持ち悪い
確かに進歩しているのだと思うが、普通立ちでヒザが曲がってるのとか、ASIMO みたいに歩行時に腕を振らないのとか、このシリーズ、本当に進歩してるんだろうかと、本気で心配する。そんな状態のなのに、「メカメカしい機体に生首乗せてみました」的な無理やり実装で耳目を惹こうとしている。その真意がさっぱり分からない。何がしたいのだろうか?
不気味の谷現象という言葉を耳にしたことがあるかもしれないが、まさに、これがそうだ。
「人間に近い形状を追求しつつ、気持ち悪くないデザインを追及した」
メタリックなスーツはテクノロジーを強調し、違和感の解消を実現できたとしている。
いやいやいや。充分に不気味です。表情制御に8つもモータを搭載していますって言われても、人間の表情筋と言われるものが何種類あって、どのように配置されているのか想像してみて。全然足りないよ。
こういうヒューマノイド系の研究って、本気で人間に近づける努力をしないと、ずっと不気味の谷を乗り越えられないだろう。それまでは、中途半端な実装で「ほら、出来ました」とひけらかすのは良くない。かえって、ロボット産業にマイナスイメージを持たれかねない。
ASIMO はランニングができるまでに進歩しているが、HRP はどうだ?
機体制御にもっと注力すべし。外見は後回にすべし。それが、ロボット産業がメシを食えるようになる最短の近道だろう。
2009年3月16日月曜日
ビームサーベルというよりライトセーバー
「オートモーティブ テスティング東京2009」など自動車関連展示会が開催
SF とは何の関係もなさそうなページだが、ちょっと待った。ページの下のほうにある「燃料は水のビームサーベル! プラズマ化した水が金属も軽く切断」と見出しのある記事をご覧あれ。水を沸騰させて水蒸気を作動ガスとして使用し、さらにその水蒸気に放電アーク間を通過させてプラズマ化させ、それをジェットとして吹き出させるという仕組み
もう、何もかもが空想科学的で、SF ファンにはたまらない用語が並ぶ。動画を拝見すると、このプラズマナイフは、せいぜい十数センチ程度のもののようだが、その威力はすさまじい。厚さ5ミリ程度の鉄板を、豆腐のように切り刻んでいる。
すばらしい。かっこいい。技術立国ニッポン万歳。
2009年3月14日土曜日
ETC通行料1000円が景気刺激の特効薬か?
Car Watch ETC通行料土日祝日上限1000円の詳細を発表
朝っぱらから、カー用品専門店に、見たことも無いような車の行列ができて、店に面している幹線道路の1車線を完全につぶしている。特売日か? それにしても、尋常じゃない数。
それで思い出したのが件のニュース。確かに庶民感情としてはかなり魅力的。日本の端から端まで1000円で移動できるわけではないらしいが、これは割引きの範疇を著しく逸脱している。
おまけに、ETC取り付けに補助金を出すという制度も、期間限定とはいえスタートしている。かつてない大盤振る舞いの様相だ。景気刺激策ではなく ETC の普及が主目的ではないかとさえ思える。
Car Watch 高速道路交流推進財団、ETC車載器の購入助成を3月12日から開始
Car Watch 首都高、ETC車載器とセットアップを0円とするキャンペーン
いや、実際のところ、景気刺激策に乗じて、普及率が伸び悩んでいる ETC を一気に普及させようという腹だろう。
良く考えて欲しい。高速道路は民営化されたとはいえ、道路自体は国から貸し出されている形になっており、通行料などの収入は建設費の返済にあてられている。今回の特別措置により通行料の大幅な減収が見込まれるが、これは即ち、建設費の返済が滞るということであり、結局のところ国の負担増、言い換えると税金という形で、巡りめぐって我々市民に跳ね返ってくるのではないだろうか?
ETC 普及キャンペーンにしても、どうも胡散臭い。ETC の権利ビジネスで潤っている会社は、国交省(旧建設省)の天下り役人の受け皿となっているというもっぱらの噂だ。座っているだけで、ETC が一台売れるごとにマージンが入るらしい。そして、しばらく座ったら、退職金をたんまりもらって次の天下り先へ、という寸法だ。
そもそも、キャンペーン値下げの原資はどこから調達してるのかが不明だ。まあ、国から補助金が入っていると考えるのが妥当だろうが、もしそうであれば、それはもともとは我々の血税である。我々は、天下り官僚を潤すために税金をせっせと払っているわけではない。
目先のおいしそうなエサに食いつく前に、その裏側を少しでいいから考えてみよう。
2009年3月12日木曜日
アンチIT社員
間違いだらけのIT経営:社内に寄生するアンチIT社員たち - ITmedia エグゼクティブ
何も、歳食ってるおじさん連中だけがアンチ IT とは限らない。ウチの業界だけかもしれないが、プログラマの中にもアンチ IT と言っていいほどの超保守派が少なからず存在する。
自分が業界入りした時代は、プロジェクトのプログラマといっても2~3人で、メインプログラマ(これは業界用語だと思うが、要するにアプリケーションの根幹部分の設計と実装担当者のこと)がほとんどを仕切っているので、ソースコードのバージョン管理システムなど導入せずとも何とかやっていけた。もちろん、それでもコードが先祖返りしたりといったトラブルは無くはなかった。が、少人数なので、場当たり的対処でなんとかなった。
年月は過ぎ、プロジェクトに関わるプログラマの数が年々増えてきた。バージョン管理システムが必須の状態だ。ある会社に在籍中、バージョン管理システムの重要性を切々と訴え、導入を検討するようにプロジェクトリーダーに進言したが、むげに断られた。氏、曰く…
そんなもの無くても今までやってこられたから
無知とは罪。予想通り、納期間近になってもバグが終息せず、修正すると新たなバグを生み、直したはずのバグが復活する、という状況だった。だから言ったのに…。
自分が知らない、あるいは理解できない新しい領域に、人は踏み込もうとしない。が、それが良い場合と悪い場合がある。悪い結果になったとしても、個人的な領域に収まるのであれば問題ないが、会社という組織としては、「なるべくしてなった悪い結果」は絶対に避けなければならない。
ウチの業界にも、アンチ IT は必要ないよ。
2009年3月11日水曜日
ガンダム大地に立つ
バンダイナムコグループ、「機動戦士ガンダム30周年プロジェクト」で等身大ガンダム RX-78-2をお台場に展示
ファーストガンダム世代としては、反応せずにはいられない。放送開始から30年も経つのか。歳を食うはずだ。1985年の続編で復活し、以降何作作られたのかさっぱりわからないほどのい勢いだ。ガンプラ(ガンダムのプラモデル)の発売日に、エスカレータに殺到した小学生が、将棋倒しになって怪我人が出た、というニュースが記憶に残る。森口博子が主題歌を歌っていた時期もあった。
なぜ、いちアニメ作品が、これまでに愛され続編を続けられたかは、専門サイトに解説をゆずるとするが、リアルタイムに視聴していた世代にとっては、とにかく、何もかもが「これまでのロボットアニメを超越していた」のが面白かったのだ。
科学考証も綿密に行われ、世界観設定がこれでもかと構築されていた。「ラグランジュポイント」などという専門用語が、天文学関係者でなくてもすんなり受け入れられたのは、これが初めてではなかろうか? 「ニュータイプ」設定は、SF の王道を行く設定で面白みに欠けたが、ガンダムの3パーツシステムの解説にはしびれたものだ。
ガンダムの3パーツシステムについて少し解説すると、パイロット搭乗機である「コアファイター」を胴体腹部部分とし、上半身、下半身(おぼろげな記憶ではA、Bパーツと呼称していた)の3パーツに分離・合体が可能なシステムとして、ガンダムは設計されている。
「コアファイター」には、学習型コンピュータが搭載されており、パイロットの操縦のクセを覚え、使い込むほどにパイロットに有利に働く。しかし、撃墜されるなどして機体が敵軍に捕獲され、その技術の盗用をおそれた設計者は、コアファイターだけ分離させ脱出する事ができるように設計した、という触れ込みだった。なんとまあ、しびれる設定であることよ。
汚い話をすれば、スポンサー(おもちゃ屋)から、「合体・分離するギミックを仕込んだおもちゃを作るから、そういう話を作れ」と言われて出てきたものであることには、多分間違いない。そこを感じさせない制作スタッフ陣には、ほんとうに頭が下がる。
別の業界だとはいえ、「作る側」に回ってみて、初めて先人たちの苦労が見える事もあるのだ。
元素記号を擬人化?
ねとらぼ:元素記号を擬人化した「理系男子」が勉強サポート - ITmedia News
頭にすぐ浮かんだのは、「こんなので勉強になるのか?」という疑問。確かに、教科書のように、堅苦しい文章と味も素っ気も無い図がぎっしりと詰め込まれていれば、勉強する気も失せるかもしれない。だとしても、元素記号を擬人化したところで、勉強がはかどるのだろうか?
自分が受験生だった時代から、「受験のための勉強」というのは確かにあった。要は受験したい学校の入学試験の傾向を把握して、そこにだけ集中して勉強するわけだ。それは、既に「物事を学ぶ姿勢」から大きくかけ離れている。
と、ここまで書いて、当該サイトを見に行く。
何だ、ネタサイトじゃないか。
逆だね。「勉強できます」をエサにしたコンテンツ商品だ。この振り上げた握りこぶしをどこに持って行けば良いのか、途方にくれた…。
2009年3月10日火曜日
K&R石田晴久氏が死去
石田晴久氏が死去 UNIX、インターネットの国内普及に尽力 - ITmedia News
卑しくもインターネットの端にぶら下がっている以上、村井純という名前ぐらいは聞いた事がある。が、正直なところインターネット関係で石田晴久という名前にピンとは来なかった。
だが、プログラマの端くれであれば、K&R 本の石田と言って思いつかないヤツはモグりだ。K&R 本とは何か? という点についてはググっていただくとして、かいつまんで話すと、生みの親である、カーニハン(Brian W. Kernighan)とリッチー(Dennis M. Ritchie)によって書かれた、プログラミング言語Cの解説書のことを指す。
当初はシステム記述言語(UNIXシステム)として開発されたが、現在ではアセンブラの代わりに使える高級言語として、主にメモリや CPU パワーに制限がある分野で活躍している。(もちろんそうでない場合もある)
今でこそ、書店の技術書コーナーに行けば、C言語の解説書が山のように並んでいるが、20年前には数えるほどしかなかった。その中で、言語設計者自ら書かれた解説書であるというウリは強力で、C言語を習得しなければなければならない技術者は、必ず一冊は買い求めて読み漁ったはずだ。このあたりが、K&R 本が「バイブル」と比喩される所以だ。
自分の手元にも20年前に買い求めたものが一冊あるが、ページの端は手垢で汚れている。教科書よろしく赤ペンでアンダーラインを入れたり、良く見るページにはポストイットが貼られ、それも擦り切れて外れてしまうほど何度も何度も読んだ。正に、プログラマにとっての「バイブル」である。
さて、遠回りしたが、その K&R 本の日本語訳を担当されたのが石田氏である。この本の重要性にいち早く気付き、日本語訳を担当されたその業績は賞賛に値する。この本で一人前になっていったプログラマは、決して少ない数ではないはずだ。
改めて経歴を拝見すると、日本のインターネット黎明期を支えた重要な人物であったようだ。こうした先人たちの汗の上に、自分たちの今があるのだとうことを忘れないようにしよう。そして、先人たちと同じように汗をかき、後進のものたちに行き先を示す事ができる人になるように努力しよう。
最後になったが、石田晴久氏のご冥福をお祈り申し上げる。
ラベル: プログラミング
2009年3月9日月曜日
青空文庫の6500作品をBitTorrentで配信
BitTorrent といえば有名な P2P ソフトウエアだ。Winny などに代表される P2P ソフトは、ともすれば「違法ソフトウエア交換ソフト」と同一視されてがちだが、それが世間一般の認識だろう。
しかし、当然の事ながら P2P 技術自体は違法ではなく、違法行為に及んでいるユーザの方に問題がある。Winny の開発者は、Winny の開発が理由で逮捕されたのではなく、著作権を無視し、違法コピーを助長するような言動を行った事が違法だとされている。
P2P ソフトとしては新しい部類に入る BitTorrent だが、これまでのものが利用者の匿名性が強かった部分を改善し、誰がいつ何を発信したかが追跡できる仕様になっているという。
最近では、従来のクライアント・サーバモデルによる、ファイル配信の限界を突破するための技術という側面が注目されている。どんなにハイスペックで回線を増強しようとも、一気にアクセスが集中すれば、サーバは簡単にダウンする。複数のサーバに分散させることもできるが、アクセスが集中していなければ、単にリソースの無駄遣いとなる。
P2P によるファイル配信では、その制限が取り払われる。世界中の PC がノードとなり、それぞれがサーバでありクライアントである巨大な集合体へ変身する。事実、ディスク ISO イメージを BitTorrent で配信しているオープンソース OS も多数存在する。一部の者たちにとって、それは既に常識なのかもしれない。
合法なデータを、合理的に、すばやく配信する。便利な道具は正しく使ってこそ、真の価値を評価してもらえる。
ラベル: ネット