2007年12月16日日曜日

電脳コイル

MIAU大感謝祭キャンペーンを取り上げたなら、自らも感謝の意を表明すべきだ。感謝の対象があれば、だが…。

いや、ある。思い切りある。
今年5月に NHK 教育で放送が始まったアニメ「電脳コイル」。
これが見事にはまった。今年のマイブームランキング堂々の第一位だ。

放送自体は今月頭で終了しているが、前代未聞な事に、最終話の次の週から再放送をしている。どれだけ大きな反響があったのか、想像に難くないだろう。

どのような内容であるかは、これから見るかも知れない人のためにネタバレに注意しながら紹介するが、詳しい内容が今すぐ知りたい人はここをみるといいかも知れない。

現在より20年後の日本のどこか。「大黒市」へ引っ越してきた小此木優子(おこのぎゆうこ)は、「古い電脳空間」にまつわる様々な事件に巻き込まれていく、という物語。

世界観としては、「電脳メガネ」と呼ばれる、いわゆるウェアブルコンピューターが広く普及している近未来だけれども、舞台となる大黒市の町並みは、むしろ昭和の薫り漂うレトロな風景といった感じ。
「電脳メガネ」は「郵政局」が管理するメインフレームとリンクしており、電話やメール、ウェブ閲覧が可能。更に、メインフレーム内には仮想空間が構築されており、実寸大の実社会のコピーが存在している。これを「電脳空間」という。

「電脳空間」には、ペットマトンと呼ばれる「電脳ペット」や、サーチマトンとよばれる「ウイルス除去プログラム」が存在しており、それらは「電脳空間」内では「実体」をもった存在として扱われている。

また、「電脳メガネ」は、「電脳空間プロジェクター」としての機能を有する。レンダリングされた「電脳空間」の映像が、高度な重ね合わせ処理を施されメガネを通して実像の上に投影される。よって、「電脳メガネ」の装着者は、「電脳空間」のオブジェクトが、あたかもそこに存在するかのように感じることができる。(視覚と聴覚以外の情報は伝わらない)

…といった感じのハード SF な物語。
だが、それだけではないのが、この作品の凄いところ。
 ・電脳空間を舞台に繰り広げられるサイバー犯罪の匂い
 ・「メタタグ」を自在に作り出す、ナゾのハッカー老婆(主人公の祖母)
 ・電脳空間から忍び寄る魔の手
 ・電脳ペットの愛らしさ
 ・誰もが通過した思春期の甘酸っぱい思い出
などなどが、渾然一体となり、しかし、お互い邪魔をすることなく、全体として整った味を醸し出しているのだ。

ああ、文字に起こすと全然伝わらないのがもどかしい…。
現在再放送中なので、興味がわいた方はチェックして欲しい。

おっと、本題を忘れている。

自分は、この作品におおいに助けられた。
時にはアニメファンとして。時には制作側の人間として。
両方の側面から楽しみ、そして、勉強させてもらった。

ありがとう、「電脳コイル」スタッフのみなさん。
こんなすばらしい作品を、この世に送り出してくれて、本当にありがとう。