2013年6月8日土曜日

科学リテラシーを養ってる?

「科学リテラシーに乏しい人が多い」と常に感じている。

まず、言葉の定義から。「科学」は日本語だから誰でも分かる。
リテラシーとは、元々は「識字」、つまり、文字を読み書きできる能力の事。
ここでの意味は、Wikipedia によれば、
何らかの表現されたものを、適切に理解・解釈し、分析し、また記述・表現する能力
だそうだ。
まとめると、「科学的な事象に対し、適切な判断ができる能力」ということになる。

これに欠けていると思われる人が多い。

別に専門家のような知識が必要だと言っているわけではない。
みなさんが、小学校や中学校の授業で習った程度の知識で充分なんだ。

「酵素」が流行っているらしい。体にいいらしい。
でもちょっと待って。そういうの、鵜呑みにしていいの?

そもそも酵素って何?

Wikipedia によれば、
酵素(こうそ)とは、生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子である。
難しい言葉で説明された。
「触媒」とは、何らかの化学反応を促進する物質で、反応の前後で、それ自体は変化しないものを指す。

小学校の理科の実験を思い出して。

「過酸化水素水に二酸化マンガンを入れると、過酸化水素水が分解されて水と酸素が発生する。この時、二酸化マンガン自体は変化せず、反応の触媒として働いた」

これが触媒。上の説明では、「酵素は触媒として機能する分子」とあるので、酵素は、体の中で起こる化学反応を促進する物質だということが分かる。

もう一点。
多くの酵素は生体内で作り出されるタンパク質を基にして構成されている。
 この、「生体内で作り出される」という点が重要。外から入ってくることは無いんだ。言い換えると、「食ったものがそのまま使われるわけじゃない」ということだ。

みなさんは、小学校の理科で、食べたものがどのように消化・吸収されるのかを習った。
ざっくりと、次のように習ったはず。

食べたものは、消化の過程で分解され、
  • 炭水化物は、ブドウ糖になる
  • タンパク質は、アミノ酸になる
  • 脂肪は、脂肪酸とグリセリンになる
分解とは、ざっくりと言うと、「口からはいった食べ物は、小腸の壁から吸収するには大きすぎるので、化学的に(分子レベルで)小さくすること」なんだよね。

もう気づいているだろう。酵素はタンパク質の一種なので、例え口から摂取したとしても、消化の過程で分解されてしまい、そのままの形で体内に入るわけじゃない、というのが結論。

よく聞く例え話の、「頭髪が薄いので、髪を増やそうと思って、髪をたくさん食べました」と同じレベルの話なんだよ。おかしいと思わない?

深い知識が必要なわけではない。基礎的な知識があれば、その延長線上で、「あれ? それっておかしんじゃない?」と気づく能力こそが科学リテラシーなんだと思う。

科学リテラシーを養おうよ。だまされないために。

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2013-06-08 19:32 誤変換を修正