2013年6月23日日曜日

マイナスイオンはニセ科学

いきなり結論を書いてしまったのでこれでお終い。とはいかないので、少し書くよ。

まず、「イオン」の定義。

電荷をもつ粒子をイオンといい、正の電荷を持つ陽イオンと、負の電荷をもつ陰イオンがある。
これだけ。

電荷って何だ? 原子は原子核と、それを取り巻く電子で構成される。
その電子のいくつかを失うと、その原子は電気的に「正の電荷」を持つことになる。これが陽イオン。逆に電子を取り込んで電気的に「負の電荷」を持った状態が陰イオン。

例えば、塩化ナトリウム NaCl を水に溶かすと、陽イオン Na+ と、陰イオン Cl- に別れる。これを「電離」という。
Na+ は、電子配列的にネオン Ne と同じとなり、安定した状態になる。
Cl- は、電子配列的にアルゴン Ar と同じとなり、やはり安定した状態になる。

ネオン Ne や、アルゴン Ar は、不活性ガスといって、他の物質と反応しにくく、化学的に安定した物質であることは、皆さん習ったとおり。

さて、ここまでで、マイナスイオンという言葉はどこにも出てこない。

ネットで探すと、マイナスイオンの説明は、どこか不明確でハッキリしない。そりゃそうだ。学問としてなんら体系的にまとまっていないからだ。
まとまってないのは、研究が不十分か、そもそも学問として成り立たないニセ科学だから。

サイトによっては、「滝の周りが清々しく感じるのは、水が岩にぶつかって細分化する時に、マイナスイオンになるから」という解説がある。物理的に細分化してるだけで、陰イオンになってるわけではないらしい。
もし、水が電離(イオン化)するなら、水素イオン H+ と、水酸化物イオン OH- が生成されているはずである。
せいぜい数メートルの落差で水が岩に叩きつけられて、電離が起こるようなエネルギーを得ているとは当然考えにくいし、あるはずがない。水はそもそも共有結合だ。

百歩譲って、マイナスイオンが学術的にイオンの仲間だとするなら、そのもとになっている原子(多原子)の化学式は何なのか? そこを言及しているサイトはない。
ただただ、「マイナスイオンが発生する」としか書かれてない。

これが、マイナスイオンはニセ科学と判断する理由。

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2013-06-23 23:59 一部修正