2009年7月19日日曜日

通分と理系的思考力

 子供の算数の宿題プリントに分数の通分を求める問題があった。問題の頭には通分の計算方法が例示してあったが、これがどうもあまりよろしくない。

 要は「分母の最小公倍数を求めて、分母がそろうように分母と分子に同じ数を掛けましょう」という事なのだが、小学生に最小公倍数の話はできない。だから、機械的に解を導く手順が解説されている。

 これじゃ通分の数学的意味は理解できないよな。

 率直にそう思った。解き方(テクニック)だけ教えて、通分が何を意味するのかの説明はない。いや、分数は4年生から習うらしいので一度は習っているはずだ。が、そこで通分について深い説明があったかどうかは不明だ。

 算数(数学)嫌いは、まず、問題の解き方が分からずに思考停止してしまう事から始まるのではないかと考える。仮に解き方を知っていても、その数学的意味合いを理解していなければ、テクニックでしかない解き方はそのうち忘れてしまう。

 算数(数学)や理科と来れば「理系」の主戦場だが、これについて面白い記事があったのを思い出した。

文系女子は理系思考ができるか?

 岡嶋先生は、中身を知るような好奇心を持っていたり、知る努力を惜しまない人を、“理系的な思考”を持っている人と呼んでいるのだそうだ。

 なるほど、「理系人間」の本質を的確にとらえた表現だとにんまりする。分数も計算テクニックを教えるのではなく、分数とは本質的に何なのかを理解させる事に重点を置くべきだ。小学生であれば、まだ、自主的に「知る努力を惜しまない」という行動は取れる子は少ないだろうから、先生や家庭がそのような思考方法を身に付けさせるように誘導してやる必要がある。

 算数嫌いは分数を教わるあたりから始まるとも聞いた事がある。いわば理系文系の分岐点である。丹念にその本質を理解させることで「理系離れ」を食い止める足がかりになるのではと、本気で考えている。